— アスリートが食事で気を付けていることは?

 アスリートの食事では、日々の練習で失われる栄養素を補給することが重要です。まず押さえておきたいのは糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素をバランスよく摂取すること。そのうえで、選手によって必要な栄養素を補強します。エネルギー源となる糖質、筋肉や血液を作るたんぱく質だけでなく、代謝の過程で必要なビタミン、汗をかくことによって失われるミネラル、トレーニングによるストレスで失われるビタミンCなどを意識して摂取しています。

— 基本は、1日3食をしっかりいただくことが大切。

 食事量はできるだけ決まった時間に摂取する1日3回の食事に加え、おやつや間食に当たる補食を挟むことで調整します。1日2回の食事では必要な栄養素が補えないので、朝ご飯は必ずしっかりといただきましょう。そして、昼ごはんを食べてから練習までの時間が5~6時間空いてしまう場合は、練習前に補食をいただきます。おにぎりやパン、果物、ドライフルーツなど、消化がよく手軽に食べられるものがおすすめです。練習後には、疲労回復のためにビタミンを果物や100%果汁ジュースなどから、たんぱく質をチーズや牛乳から摂取することをおすすめしています。また、体作りには質のよい睡眠も大切。就寝時間から逆算して3~4時間前には夕食をいただくのが理想的です。夕食時間が遅くなる場合は脂質が少なく消化がよいメニューを選びます。

— 求める運動効果によって必要な栄養素は異なる。

 例えば持久力をアップさせたい場合は、糖質の摂取が重要。長く走ったり泳いだりするには、たくさんのエネルギーが必要になるのです。そして、糖質がエネルギーになるためにはビタミンB1が必要になるため、セットで摂取します。ビタミンB1は豚肉に多く含まれているので、練習や試合後は豚肉料理がおすすめです。
 また、瞬発力をアップさせたい場合は、筋肉量を増やす食事が最適。食品によってたんぱく質を構成するアミノ酸の組成が異なるため、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質を組み合わせて摂取しましょう。そして、たんぱく質の代謝や合成に関与するビタミンB群や葉酸が必要。これらは緑黄色野菜に多く含まれています。ステーキの付け合わせにブロッコリーやニンジンが用いられるのは、筋肉量を増やす食事として理にかなっているのです。

— 極端な食事制限は、プラス面よりもマイナス面の方が大きい。

 アスリートたちの美しい体は、バランスのいい食事がもたらすもの。糖質オフや脂質オフ、たんぱく質の過剰摂取など、極端な食事制限はバランスを崩すことになり、マイナス面が大きくなります。例えば、筋肉をつけようとたんぱく質を摂り過ぎてしまった場合、余った分は体脂肪として蓄積されてしまうのです。アスリートにとってトレーニングの効果を上げることが重要であり、かえってパフォーマンスを落とす結果を招いて健康を害していては意味がありません。アスリートが気にかけるバランスのいい食事は、多くの人にとっても健康の指針となるでしょう。

— 美容に効果的な食習慣は?

 極端な食事制限を避けてバランスのいい食事を心掛けることに加え、肌の健康に必要なビタミン、ミネラルを摂取するといいでしょう。これらの栄養素は野菜、海藻、きのこなどに多く含まれています。普段の食事にこれらの食材を使った料理を1品プラスするとよいでしょう。また、肌の健康にはビタミンエースと呼ばれるビタミンA・C・Eが豊富な緑黄色野菜がおすすめ。外食をする時は、バランスよく食事ができるコース料理や緑黄色野菜などのアラカルトが充実したレストランを選ぶといいですよ!

Profile

名古屋グランパス 栄養アドバイザー

森裕子さん

Yuko Mori

スポーツ選手の栄養サポートを専門に、プロ、実業団、スポーツ少年団などで栄養指導を行ってきたスペシャリスト。現在は名古屋グランパスの栄養アドバイザーとして学校や企業などで食育活動を行うほか、イベント出演、レシピ考案、大学の非常勤講師、執筆活動など多方面で活躍している。

名古屋グランパス食育講演

https://nagoya-grampus.jp/club/hometown/food-education.html

森裕子さんサイト

https://syoku-de-smile.com/