— ミッドランド スクエアが、ファンタジアに包まれる。

ツァイ・シャオチーさん&吉川公野さんの作品は、カラフルなものが多い。様々な色をたくさん使い、まるで生き物ではないかと思えるような生命力あふれるアートを創り出す。ところが、ミッドランド スクエアのクリスマスインスタレーションは「ホワイト・ファンタジア」。色の世界からまっしろな世界へと、どのようにして挑んだのだろうか。「普段は色を使いますので、まっしろな作品は作ったことがありませんでした。白と聞いてとても興味が湧き、実際に考え始めた時点で色が使いたくなりました(笑)」と語ってくれた。実際の作品は、アルミの色であるシルバーや電球の反射などが複雑に組み合わされているため、厳密にはまっしろではない。「反射する鏡面は周囲の色をひろって、人間の眼に投影しますから、Colors of the lightsを感じるはず」と話すのは、ツァイさん。眼に見えなくても自然に色や形や存在をわたしたちに想像させる、それがホワイト・ファンタジアであり、二人の作品なのである。白い作品なのに色を感じる、それこそ、アートの魔法と言えるだろう。

— 平面から立体へ、東洋と西洋が出逢う。

今回の作品は、平面だった素材に切り込みを入れて、素材にカーブをつけたり重ねたりして自由自在に形にし、立体へと仕上げられたもの。おびただしい数のピースを何重にも足していき、クリスマスツリーとなっている。それは日本の切り紙や折り紙の感性にも似ていて、東洋人同士の二人が西洋の都ロンドンで活躍していることとも無関係ではないだろう。「平面から立体になった瞬間、そこにはShape of the airが生まれるのです」とツァイさんが語れば、「それは陰と陽、両方の存在を感じることでもあります。切り込みに手を入れて形づくることで空気の形ができる。空気さえもアートの一部です」と吉川さんが付け加えてくれた。

— 生む苦悩と創る喜び、それを分かち合う幸福感。

ツァイさん&吉川さんはアートを生み出すユニットであり、私生活ではご夫婦でもある。「二人で制作するということは、仕事を半分ずつにすると勘違いされることもありますが、むしろ逆で、一人で制作する二倍以上の時間と労力がかかります」と奥様のツァイさん。一方、ご主人である吉川さんは「まずディスカッションから始まります。もちろん何度もぶつかります。けれど、好きだと思えることに取り組んでいるからこそ、ぶつかりながらも共に歩める。お互いに妥協しませんが、歩幅が一緒になるように詰めていくと、完成度が高くなり、作品が出来上がる。その時の達成感と快感は説明できないくらいに素晴らしいものになります」と語ってくれた。明快でロジカルに話すツァイさんと、感情や理性や気持ちの何もかもを包み込むような静かな口調の吉川さんとのバランスがとても印象的だった。

— 商業施設でのパブリックアートプロジェクト。

クリスマスツリーやメインオブジェだけでなく、西側メインエントランスなど館内の全てを、同じアーティストの作品で連携させた大掛かりなパブリックアートプロジェクトは、ミッドランド スクエアにとっても初めての試み。しかも一年でもっとも華やぐクリスマスシーズンに、アーティストによる作品で全館を埋め尽くすというスタイルは、中京地区でも例を見ないのではないだろうか。このプロジェクトについてお二人の意見を伺った。「もっと多くの人に、公共の場で、アートに自然に触れてもらいたい。小さな子供達がアートに出会う場を作ってもらいたい、と思います。今回のミッドランド スクエアでは、クリスマスツリーだけでなく、エントランスやエレベーターなど、あらゆるところに私たちのアートが生き物のように存在している。アートに囲まれた空間でショッピングやお食事や映画が楽しめるなんて、本当に素晴らしいと思うし、たくさんの方に来館いただきたいと思います」と情熱的に語ってくれた。見慣れたいつもの空間に、感性を刺激するアートが存在する、その価値をぜひ“体感”していただきたい。