— 豊田貿易はどのような会社ですか?

 取り扱いブランド13を数えるアパレル輸入商社です。現在のように多くのイタリアブランドを取り扱うきっかけとなったのはC.P.カンパニー(1996年契約~現在は終了)と、ストーンアイランド(2000年契約)です。また、2010年頃からジャンネットやチルコロ1901など幾つかのファクトリーブランドの取り扱いが始まり、2021年にはラルディーニが加わりました。そして、弊社は輸入や小売りにとどまらず、東京、横浜、そして名古屋にセレクトショップも自社で運営しています。

写真左:ラルディーニ本社 写真右:アスペジ ミラノショールーム
フィレンツェで開催されるピッティイマジネウォモにおける、ラルディーニのブース。

— 豊田貿易がアパレル商社となった理由は?

 豊田貿易は1984年に、私の父親である豊田隆二(現・代表取締役社長)が創業しました。創業するきっかけになったのが、父がイギリスで後の私の母親となるドイツ人女性と出会い、そしてドイツで生活を始めたことが挙げられます。当時飛ぶ鳥を落とす勢いの人気ブランドであったヒューゴ ボスとの出会いとも言い換えられるかもしれません。父はヒューゴ ボス社へ手紙を書いたそうです。「日本の代理店をやらせてくれと」。熱心な父に心動かされたヒューゴ ボスは、父と契約を結びます。そして、日本はバブル景気真っただ中。その売れ行きは凄いものだったそうです。

— 豊田さんの生い立ちは?

 創業の翌年、1985年に私は生まれました。幼少の頃から周りにたくさんの洋服があり、父のおさがりを着たりして、上質とはどんな物かを覚えた気がします。東京の大学を卒業した後、父と同じく英国へ留学します。一年半を彼地で過ごしてから日本にはすぐに戻らず、シンガポールでインターンシップを経験し、2009年に帰国、豊田貿易へ入社しました。

— 自社運営のショップ、「ピエトラビアンカ」はどのようなお店ですか?

 2021年11月にミッドランドスクエア3階にオープンした「ピエトラビアンカ」では、弊社がインポートするブランドを中心にセレクトがされています。ウエア、シューズ、アクセサリーなどトータルでお楽しみいただけます。イタリアの物作りの本質を体感できるブランドを数多く揃え、仕事でも休日でも、洗練された時間を過ごす感度の高い大人の男性、女性が満足いただけるコレクションをご用意しています。

— どのようなブランドを取り扱っているのですか?

 男性用では県内随一の品揃えを誇るラルディーニをはじめ、チルコロ1901、ジャンネットなどイタリア・ピッティウォモで人気のブランドをラインナップさせています。また、チャーチといった上質なシューズ類もあり、オンもオフも楽しめるアイテムを充実させています。また、女性用では、イタリアのエレガントな女性が好むアスペジや、レザーアイテムに素材と作りのよさを魅せるバリーなど、普遍性と適度なトレンドを捉えたコレクションを厳選しています。

— ブランドやアイテムを選ぶ際のポイントは?

 選択基準は、「トレンドに大きく左右されない、上質な日常着」です。例えば、男女で展開しているアスペジは、日本ではミリタリージャケットといったカジュアルな印象が強いのですが、実は素材が良く、シンプルなデザインで、タイムレスに着られる服の代表としてイタリア人には認知されています。バリーも150年ほどの歴史を持つブランドで、素材と作りの質が非常に高く、長く愛せるアイテムを数多く揃えます。

— レディスも充実していますね?

 これまでメンズでは定評のあったラルディーニやチルコロ1901の、レディスを国内随一の品揃えにしています。ファクトリーブランドならではの作りのよさは男女問わず評価していただいております。また、元マルニのデザイナーが加わったアスペジもすでに高い評価をいただいております。

— 海外へのバイイングもされているのですか?

 我々の扱うブランドの多くは、いわゆるイタリアン・ファクトリーブランドと呼ばれるもので、ジャケットやシャツなどの専業となります。それらブランドの経営はイタリアらしくファミリーによるもので、弊社も家族経営です。そんなところも彼らと信頼関係を抱けたり、意気投合できる点です。また余談ですが、私にはヨーロッパの血が流れているので、彼らはより心を開いてくれているようにも感じます。

— プライベートはどのように過ごしていますか?

 学生時代は体育会系のゴルフ部に所属していて、社会人になってからも休日はゴルフに没頭していました。しかし、結婚して、現在9歳と5歳の娘がいますので、休みの日はもっぱら家族で過ごしています。子供のエネルギーに付き合うとゴルフ以上に疲れますが、でもそれが仕事へのパワーにもなっています。

— 名古屋に出店した理由を教えてください。

 これまでにも名古屋には出店していたことがあり、また取引先も数多くありますので、頻繁に訪れてきた都市です。食事も美味しいですしね(笑)。名古屋は国内でもかなり大きなマーケットですし、また、東京や大阪にはない魅力があるようにも感じています。例えば、よく売れるブランドが他の都市とは異なったり、ニットも定番色よりも鮮やかな色合いのものが数多く売れたりします。名古屋のお客様は独自の審美眼があります。ですから、それに応えられるような品揃えを心がけています。

— ミッドランドスクエアの印象は?

 名古屋駅の目の前にある立地条件のよさ、そして、衣食住がここで完結できるのもいいですね。車の展示まである! そして、なにより、どのお店も個性があって、こだわりを強く感じさせるものばかり。その中で、われわれの「ピエトラビアンカ」もイタリアの上質という切り口で名古屋のみなさまの生活をより楽しいものにするお手伝いができれば、と願っています。

— 「ピエトラビアンカ」を通して伝えたいことは何ですか?

 コロナ禍の中にあって、いろいろなことが見直されています。このような窮屈な時代に、イタリアの本当のライフスタイルを知っていただき、少しでもリラックスしたり、楽しい気持ちになっていただきたい。洋服だけではなく、グルーミンググッズやフレグランスなど、いろいろな角度からも提案したいとも思います。現状、イタリアに実際に行くことは難しいかもしれないからこそ、それを「ピエトラビアンカ」を通して、お伝えできればと考えています。世の中が落ち着いてきたら、何かイベント的なことも開催したいと考えていますので、ぜひご期待ください!
 きれいめカジュアルからビジネスシーンまで、「ピエトラビアンカ」で上質で上品なライフスタイルを完成してみませんか?

Profile

株式会社豊田貿易
常務取締役

豊田 一樹さん

Kazuki Toyoda

3F pietra bianca

1985年東京生まれ。日本の大学を卒業後、イギリスへ1年半の留学を経て、シンガポールにあるドイツ系の総合商社でインターンシップを経験。2009年に(株)豊田貿易へ入社。イタリアを中心にヨーロッパのブランドの輸入代理店を務める同社では英語、ドイツ語と海外での経験を生かしてヨーロッパ各国を飛び回る。海外出張による年間のヨーロッパ滞在期間は延べ40日〜60日。2児の父として子育てにも奮闘中。ゴルフは大学時代にプロを目指したこともあるほどの腕前。