My Story vol.65
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料理と器がひとつになって季節の情景を描き出す芸術家であり美食家であった北大路魯山人曰く、「器は料理の着物」。尾張三ぶんの料理長である榊原さんは、夏はガラスなど涼やかな器、冬は土ものなど温もりのある器を選ぶことで、料理の持つ季節の情景をよりクリアに描き出します。今回、榊原さんが考案した夏メニューの主役は、カレイと丸茄子。どちらも夏を代表する素材であり、自家製山椒味噌の辛味や風味が夏の太陽や風を彷彿とさせる仕上がりになりました。「カレイは、涼やかな白磁が夏らしい九谷焼彩光窯の皿に盛り付けました。草花の染付をチラリと覗かせ、料理との一体感を意識しています。丸茄子の器は、魯山人の有名作を写した文吉窯の鯰形向付。器と料理の妙を感じていただければと思います」。店には、人間国宝の作品や古九谷といった貴重な器が多数。美術品として観賞するのではなく実用品として料理とともに堪能する、特別で贅沢なひと時を過ごせます。日本料理店やフグ料理店を経て、2020年に料理長として同店へ。山海の幸に恵まれた愛知県らしい、素材の味を生かした料理を心がけている。カレイと丸茄子の山椒味噌焼 ¥1,650(税込)夏の魚の代表格であるカレイに、ピリッとした山椒味噌がよく合います。丸茄子は、山椒味噌を使った田楽に。清涼感のある香りが漂います。|6月1日〜8月31日期間限定|2日前までに要予約|※提供時の器は異なる場合があります尾張 三ぶん4F TEL.052-527-8822自慢の器が壁一面に並ぶ様は圧巻。個室には、岐阜県重要無形文化財の認定を受ける幸兵衛窯の作品が飾られています。人間国宝の十四代酒井田柿右衛門による酒器や、尾形乾山の菊向付、古九谷の赤絵染付小椀などの名品が揃います。香り豊かなスパイスや清涼感あふれるハーブの存在感が光る、夏にピッタリの逸品をピックアップしました。Yukio Sakakibara尾張 三ぶん 料理長榊原 幸生 Interviewee12OURMET夏に食べたいスパイス&ハーブ。MSOwari Sanbun

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