名古屋はラーメンが浸透していない地域とは本当ですか?

 今でこそ名古屋にも全国的に見ても人気なラーメン店が増えてきましたが、まだまだ他の地域に比べると数も少なく、ラーメンが浸透していない地域と言われるのも仕方ないという面は確かにあると思います。名古屋は、昔からきしめん、味噌煮込み、あんかけパスタ等の麺文化があったのでラーメンが入り込む余地があまりなかったのが一つの要因だとわたしは考えています。つけ麺のお店を名古屋ではじめて開店させたのですが、お客様のほとんどが、つけ麺を食べるのは初めてだとおっしゃっていました。わたしはとにかくラーメンが好き。ビジネスとしてのラーメンを考えているというよりは、とにかく好きで仕方がないから、その好きを追求し続けているだけなのです。ラーメン店が少ないと言われる名古屋に、もっともっとラーメン好きを増やしていきたいと思っています。

— フジヤマ55の一番の特徴は何ですか?

 つけ麺でブランド構築したお店ですので、まずはつけ麺からご紹介したいです。濃厚で香りも強く、甘味・辛味・酸味などのバランスがとれていて、印象に残る味わいだと思います。麺はつけダレがよくからむように太めです。ミッドランド店では小麦粉にこだわり、わたしが生まれ育った大好きな愛知県をフィーチャーし、愛知県産ブランド小麦『きぬあかり』『ゆめあかり』の2種を配合し、愛知県産小麦100%の自家製麺を自社製麺工場で打って、毎朝届けています。愛知県の小麦の風味、のど越しを感じてもらい、濃厚なつけ汁にたっぷりからませて召し上がっていただきたいです。

— フジヤマ55の成功の秘訣は?と質問したら、どうお答えになりますか?

 わたしは、本当に好きなことをやっているだけなんです。結果として成功がついてきたという感覚で。どのお店もやりたいからやった、やったら繁盛したからダメになることを考えることがなかった。実はラーメンの原価率をきちんと知ったのは最近ですもん(笑)。人とのご縁で店舗が増えていったのですが、強いて言うなら、やっぱり好きなことをやり続けてきたから、ということになるでしょうか。

— 澤さんは、ラーメンで7大陸をつなぐ、とおっしゃっていますが?

 ヨーロッパやアメリカなどには進出していますので、あとは、南アメリカ、アフリカ、オセアニアが残っています。海外進出というとラーメンを商品にしたビジネスマンのようですが、実際はクリエイティブなところに重きを置いていて、いかに良いお店が作れるか、面白いことができるか、というところを着目しています。だからラーメンで世界をつなぐというのは、ビジネスというよりも、ラーメン好きなみんなをつなげたいということですね。

— 冒頭に名古屋はラーメン不毛の地と申しましたが、澤さんが描く“名古屋らしいラーメンの創造”はどんなものですか?

 名古屋といえば、台湾ラーメン、卵とじラーメンなどが言われていますが、それらとは違う軸で、味噌、とんちゃん、牛ホルモンなどの素材を考えています。そのほか最近取り組んでいるのが異業ジャンルのシェフとのコラボレーションです。フレンチや中華のシェフたちと組んで、オリジナルのラーメンを作っています。ミッドランドの店舗はそんな挑戦的なメニューのマーケティングにはぴったりの場所ですし、この場所で店舗を開くことができたのは、わたしの会社にとってとても大きなステップになると思っています。

Profile

株式会社55style
代表取締役

澤 竜一郎さん

Ryuichiro Sawa

4F FUJIYAMA55 MIDLAND RAMEN STAND

4F FUJIYAMA55 MIDLAND RAMEN STAND

愛知県名古屋市生まれ。大学時代からラーメンの虜になり、年間500食、全国のラーメンを食べ歩く。30代に突入した年に脱サラでラーメン店開業を決意。名古屋市中区鶴舞に「中華そば 鶴舞 一刻屋」をオープン。その後、順調に店舗数、フランチャイズ店を増やし、現在国内に39店舗、海外に28店舗、プロデュース店12店舗のネットワークを持つ。2020年に、ミッドランド スクエア4階に「つけ麺・ラーメン FUJIYAMA55 MIDLAND RAMEN STAND」をオープン。